今年の42冊目・五十嵐貴久「土井徹先生の診療事件簿」

父親が優秀な刑事だった事もあり、二十五歳の若さで警察副署長になったキャリア美女が出会った老獣医が、彼女の身の回りに起る謎を次々と解き明かしていく。
獣医らしく、動物の生態をヒントに謎を解いていく過程も楽しいし、本当に動物と話せるのでは?と思わせる土井徹先生の動物との心の交流が、とても心地よくてよかったです。

★★★☆(星3つ半)

今年の41冊目・水生大海「熱望」

熱望

熱望

結婚詐欺にあった主人公の女性が、幸せを取り返さんとばかりに、男たちを騙し手玉に取って行く。
同情出来る点はあるものの、主人公のイヤ〜になる行動の数々が、どうにもこうにも好きになれないなあ。

★★★(星3つ)

今年の40冊目・福田栄一「春の駒 鷺澤家四季」

どこにでもいるような高校生の少年の日常に潜む謎を描く、連作短編集。
主人公の少年の家族や、探偵役の美人教師等、魅了的なキャラクターが一杯だし、どの話もハートフルな結末なのが、またよい。
福田栄一久しぶりのミステリで、期待はかなり高かったのだが、その期待に十分応えてくれた一作でした。

★★★★☆(星4つ半)

今年の39冊目・貫井徳郎「ドミノ倒し」

ドミノ倒し

ドミノ倒し

ある田舎町で、殺人事件を調査していくうちに、過去の事件との関連を次々と暴いていく探偵の活躍を、コメディータッチに描いたミステリ。
仕立てはユーモアミステリだが、真相はかなりのシリアスタッチだ。
…とはいえ、「驚愕の真相」「どんでん返し」とまで謳う程ではなく、十分想定内の結末だったのが、少し残念。
貫井さんならば、もう一ひねりしてほしかったなあ。

★★★☆(星3つ半)

今年の37冊目・長岡弘樹「教場」

教場

教場

長岡弘樹期待の最新作は、警察学校を舞台にした連作ミステリ。
学校内や寮内で渦巻く「悪意」や「妬み」等の悪感情を巧みに読み取ってしまう教官・風間は、「ジョーカーゲーム」の結城中将同様、出番は少ないがその存在感は圧倒的である。
ミステリ界にまた一人、新しいダークヒーローの誕生だ。

★★★★(星4つ)

今年の36冊目・鳥飼否宇「妄想女刑事」

妄想女刑事

妄想女刑事

…期せずして「妄想モノ」が続いたなあ。
こちらは、妄想癖のある美人女刑事が、酩酊した時にしかたどり着けないバーのバーテンダーの何気ない一言で事件の謎が解けるという、ユーモアミステリ連作集。
最終話にちょっとしたサプライズはあるものの、十分想定の範囲内で、こちらも全体の出来としてはイマイチだったなあ。

★★★(星3つ)